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フリーランスの将来の備え|年金と退職金をどう見積もる?

こんにちは、小舟(こぶね)です。

フリーランスは、ざっくりいって「厚生年金なし」「退職金なし」というキビシイ状況です。一見会社員と比べて収入が多く見えるため、危機感を持ちにくいのも難点です。

「月収〇万円超えた!」と浮かれて散財していると、老後になって「あれ、生活できない…」となりかねません。

今回は、フリーランスと会社員を比較し、フリーランスが将来に向けてどのぐらい貯金すべきかを考察してみます。

フリーランスと会社員の違い①年金

まず、日本の年金制度について簡単に説明します。

国民年金は、フリーランスも会社員も公務員も専業主婦/夫も誰もが加入する年金です。老後は全員が受け取れます

一方、厚生年金を受け取れるのは、会社員だけです。厚生年金は、制度上、半額を会社が負担しています。つまり、自分が実質負担した保険料の2倍の金額を将来に向けて貯めていることになります。

国民年金の場合、あくまで支払った保険料のみが、将来受け取れる金額の計算の基礎とされます。つまり、国民年金にしか加入していないフリーランスは、自分で将来に向けてお金を積み立てておかなければなりません。


(出典:日本年金機構)

フリーランスと会社員の違い②退職金

いうまでもないことですが、会社員は退職時に退職金を受け取れます。これはつまり、「毎月、会社が老後資金を積み立ててくれている」ということです。

たとえば、40年勤めて退職すると、1,500万円の退職金を受け取れる会社があるとします。1,500万円を40年間で割ると、375,000円です。つまり、375,000円分を会社が老後資金として自動的に貯金してくれているということです。

月額に計算し直すと31,250円です。意外と大きな金額だと感じませんか?

フリーランスが「1年間で100万円貯金した!」といっても、会社員に換算すると625,000円しか貯められていないということになります。

退職金がないと知っていても、将来のことはイメージしにくいでしょう。1年、1ヵ月あたりの貯金額に換算することで、危機感を持ちやすくなります。

フリーランスが将来に備えて貯めるべき金額を計算

年金と退職金の違いを踏まえて、フリーランスが将来に向けて貯めるべき金額を試算します。

まず年金について、老後20年間受け取ると仮定して試算します。

(145,000-65,000)×12ヵ月×20年=1,920万円

厚生年金によって、会社員が老後にフリーランスより多く受け取れる年金額は、20年間で1,920万円にものぼります

これに退職金1,500万円を足すと、差額のトータルは3,420万円です。

フリーランスと会社員で、老後に受け取れるお金が3,420万円違う。こう考えると、めちゃくちゃ危機感わきませんか?私は震えました(かといってフリーランスやめる気はサラサラないんですけどね^^)。

2019年は老後2,000万円問題が話題になりました。これってざっくりフリーランスに換算すると、老後5,500万円問題になると思います。

※2,000万円は家計調査をもとにモデルケースとして計算された金額で、一概に誰もが2,000万円必要というわけではありません。が、ここはあくまでイメージとして引用しました。

毎月9万円以上積み立てて会社員と同じスタート地点

人によって、会社員時代の厚生年金分が加算されたりと、状況は異なるでしょう。私の場合、在職期間は5年間なので、厚生年金を受け取れたとしてもきっと微々たるものです……。

今後30年間で、3,420万円を貯めないと、会社員と同じ水準には立てません。3,420万円を30年間で割ると、最低でも毎年必要な貯金額は114万円、1ヵ月あたりに直すと95,000円です

ここまで計算すれば、「将来大丈夫かな……?」という得体のしれない不安は消えました!あとは、貯金に励むのみです。

幸い、厚生年金がない人に向けて、政府はiDeCoや付加年金といった制度を整えてくれていますし、退職金の代わりとしては小規模企業共済があります。

せっかくなら、制度を活用した方がお得なので、どの制度もフル活用していきます。

お金の考え方は人それぞれ

私自身は貯金が大好きで、石橋を叩き割る勢いの人間なので、「貯金大事!」という結論にいたりました。とはいえ、お金に関する価値観はさまざまなので、結局はそれぞれ自分で考えて好きなようにすればいいと思っています。

「若い時にお金を使って、太く短く生きる」という考え方もぜんぜんアリだと思うし、「老後つつましく生活すれば、そこまでお金は必要ない」という人もいるでしょう。

ただ、実際どのぐらい会社員と差があるかということは、認識しておいて損はないと思っています。せっかく電卓叩いて計算したので、誰かの参考になれば幸いです。